八王子市夢美術館で開催している「押井守と映像の魔術師たち」を見てきた。
会場に入場するとすぐ横に「もう二度とできません。お楽しみください」という監督からのメッセージがあり、展示を行う上での苦労が見られます。
展示は立体造形物と制作時に使われたキャラクター設定の作画やメカニック設定の作画が作品ごとに並びます。他には実際に実写の作品を制作した際に使われた衣装や美術品などが並び、一つ一つを良く見てみると、監督やスタッフが世界観を共有し作品に至るまでの細かいやりとりも垣間見ることができました。
今回、中でも特に興味深く見たのが、キャラクター設定の作画とロケハン時に撮った大量の写真。
キャラクター設定の中には、登場人物の細部にわたる設定が事細かに書きこまれ、同時に絵として書きあげられてきた人物像を一緒に見ることで、自分たちとは異なった世界感でありながら、その中で生きる人物がどんどん浮かび上がって来て、現実世界にも通じるイメージを持つ不思議な感覚を与えてくれて魅了されました。
顔の絵コンテ一つをとっても正面・ななめ・後方と様々な角度から描かれた顔に各キャラクターのもつ顔と表情が合わさることで、登場人物の特徴がより濃く浮かび上がってくるので、画コンテを前にして一緒になって表情を作ってみたり、まだ見ていない作品に関しては、作品の中でどのように人物が動きまわるのかを想像して楽しんでいました。
ロケハンの写真では、様々な視点で切り取られた画がおさめられている事がとても印象的でした。町一つ、建物一つ、造形物一つ、各写真にしても、視点を変えるだけで受ける印象が全く違ってくるので、発想の転換をもたらしてくれたことと共に、視点を変えて見ることの大切さを学びました。
緻密な作画によるキャラクターの演技、美しい背景、メカニックデザイン、音楽など、その独特な世界観にしばし妄想をめぐらせた時間を過ごすことが出来ました。
—–
コメントを残す