- ビットコインに興味がある人
- 物事をじっと考えるのが好きな人
- 自分の目標が見つからない、何をしたいか分からない人
- 変化の激しい時代の波に乗ってみることの大切さ
- 世の中お金なのか?!何が大切なの?!
- 答えを出せなくても自ら考え続けることの重要性
目次
「ニムロッド」のあらすじ
第160回芥川賞受賞!それでも君はまだ、人間でい続けることができるのか。 あらゆるものが情報化する不穏な社会をどう生きるか。仮想通貨をネット空間で「採掘」する僕・中本哲史。中絶と離婚のトラウマを抱えた外資系証券会社勤務の恋人・田久保紀子。小説家への夢に挫折した同僚・ニムロッドこと荷室仁。やがて僕たちは、個であることをやめ、全能になって世界に溶ける。すべては取り換え可能であったという答えを残して。
現実と小説の世界が交錯した物語
中本哲史は、ある日社長の気まぐれから会社の未使用サーバーを利用して仮想通貨ビットコインの採掘(マイニング)を命じられる。
恋人・田久保紀子とは結婚を前提としない関係を過ごしながら、同僚ニムロッドこと荷室仁からは仮想通貨の開発者ナカモトサトシと同姓同名であることを面白がられ、僕を主人公にした小説が送られてくるようになる。
科学と情報技術の発達した時代。
小説の中のナカモトサトシは、ビットコインを元に幾ら使っても余りあるお金でバベルの塔を模した“僕の塔”を建てて、自らを人間の王と称して暮らしている。
唯一の楽しみは、不死となった「最後の人間」から、様々な要因により開発に失敗した欠陥機や失敗作とも言える航空機たち“駄目な飛行機”を買ってコレクションすること。
ビットコインの仕組みは?どうやって生まれたの??
ビットコインは、インターネット上で電子的な売買取引・支払いの手段として広く流通している通貨。
ビットコインの特徴は、ビットコインを使う人と仮想通貨を掘る(マイニング)する人たちが存在することで通貨としての価値が保証されている点。
国が発行する通貨はその国が滅ぶと価値を失うが、仮想通貨は使う皆が互いに監視し合っているため、特定の国や団体に依存しない。
仮想通貨の開発者「ナカモトサトシ」という正体不明の経済学者によって、ネット上に投稿された論文で初めてその具体的な形が示され、最初の仮想通貨「ビットコイン」が誕生した。
マイニングする人には、作業量に応じたビットコインが与えられるが、掘り出せる量には上限があり2140年に終わるとされている。
「資本主義におけるシステムサポートそのものだよ、ビットコインを掘る作業は」
「通貨はさ、資本主義というシステムの根本にあるものだ。その通貨の成立に協力するんだよ?」
「限られているから欲しくなる、他者が欲しくなるからより欲しくなる。自然の欲望」
「駄目な飛行機があったからこそ、駄目じゃない飛行機があるんだよね今。でも、もし、駄目な飛行機が造られることなく、駄目じゃない飛行機が造られたのだとしたら、彼らは必要なかったことになるのかな?」
「今の人間は駄目な人間なのだろうか?いつか駄目じゃなくなるのだろうか?人間全体が駄目じゃなくなったとしたら、それまでの人間は駄目だったことになる?完全な人間って?!」
「どこにもないものを売ってあげることはできないよ」
「ビットコインならいくらでもあるんだ。それを使って、誰かに造らせることはできないのか?」
自分で考えることの重要性を学べる
読了した直後は、抽象的な話でよく分からないというのが正直な感想だった。
ビットコインのシステムや駄目な飛行機については面白く学べた。
けど、何かを押しつけられる訳でもなく、ボンヤリしたムズ痒い感じが残った。
結局は、現実と小説を対比させたり、分からないなら分からないなりにでもこの言葉はこういう意味なのかなと好き勝手に当てはめる。
こういう場面、自分ならこう考えるなぁと考えながら、人にも質問してたら、自分なりの価値観を学べた本。
そうしている内に、作者の考えを少しずつ読み解けている気がして、作者の考えが伝わってきた気がした。
答えがない分、考えの余白があって生き方を問われた。
「ニムロッド / 上田岳弘」の読書感想まとめ
最近は、資本(お金)を高めることが中心の資本主義から、価値を高めることが中心となる価値主義に変わっていくみたいな本や文章に出会う機会が増えた気がする。。。
世の中のシステムを回して価値を支える人と志を建てて価値を創る人がいる。
いま更に技術発達する中で、それ以外の生き方まで産まれてきそうな世の中で、あなたはどう在りたいのか?あなたにとって生きる価値とは何??
自分はそんなことを問われた本。