環境が変わると、環境に対応して考え方も変化しないといけないのか⁈と振り返るきっかけになった本。
- 遺伝子というパーツと設計図
- 生物とウイルスの違い
- 生まれたポケモン?!
概要
二〇〇〇年代初頭、マサチューセッツ工科大学に集まった科学者たちは、生物学を工学化することを思いつく。コンピュータ上でDNAを設計し、その生物を実際につくってみるのだ。「合成生物学」と呼ばれるようになるその学問はビル・ゲイツをして「もっともホット」な分野と呼ばれるようになる。企業が血眼になり、軍の研究機関が莫大な予算を投じる。そうした中、孤高の天才科学者が二〇年かけてついに人工生命体を作ることに成功する。ヒトまでも人工的につくる時代が来るのだろうか?
生命を作るためのパーツと設計図(マリオメーカーズ編)
- DNA:色々な役割をもつ物質
- ゲノム:DNAが集まり作られる設計図
「DNA」は、色々な機能や役割をもつカプセルやパーツみたいなものです。例えば、背の高い人は「背の高くなるDNA」を持つから背が高く、ウェーブヘアの人は「ウェーブヘアになるDNA」を持つから髪がカールするように、DNAには一つ一つに役割がある。生物は長く生きていく中で、そのDNAを生殖活動を繰り返しながら何十万年と受け継いできたそうです。DNAの別名は「遺す・伝える・子」と書いて遺伝子とも呼ばれます。
「ゲノム」は、そのDNAが集まりできた生命の設計図。全ての生物は、遺伝子を集めて作られる「ゲノム」を持ちます。基本的には、大腸菌みたいなシンプルな生き物は、形もシンプル、出来ることも少ないのでDNAも少なくて、ゲノム(設計図)は小さくなる。逆に、多様性のある生き物は、一つ一つの違い(個性)を現すためには一個一個DNAを集める必要があり、ゲノムも大きくなる。
最先端の科学では、そのゲノムを書き換えるゲノム編集ができます。それは元々あるDNA(役割をもつカプセル)をピンポイントで狙って交換し、ゲノムを書き換える(=合成する)という方法。
このゲノム編集を使うと「寒さに弱い」お米から『寒さに強い』お米をつくれるし、「治癒の難しい」病原体に対して『免疫力を持つ』ことも可能になる。通常は人が「感じる」悲しみや痛みを、何も『感じない』最恐の兵士としと生み出すこともできる。今では、知識ある高校生ならその技術を使い、数日でゲノム編集する世界大会まであります。
最新の科学は、ゲーム編集できるマリオメーカーズみたいに、クリボー(細菌)を消せるし、ノコノコ(人間)が弱いと思えば強いクッパに取り替えられます。コンピュータ上で行われる最先端科学は、現実をゲーム感覚に扱うことで、リアルな感覚は薄れるのかなと思った。
生命は、自ら成長できる(ポケモン編)
「1→0~∞」にするゲノム編集が出来るなら、「0→1」を書いて作れると思う⁈
生命が生きるために「必要な最低限のゲノム」はすでに解読されているそうです。
ヒトの遺伝子は約20000個。その中でヒトが生きるために必要な役割を持つDNAは、たった473個。
極端に言うと、これだけで人間の細胞は生きられるらしい。けど、ちょっと面白いのは、「生きるために必須、準必須なDNA」たちが上手く役割を果たして成長するには、「生きるため直接には必要ないDNA」もいてくれないとダメということ。
ミクロ世界にも、人間社会と同じことが起こっているんだと思うとなんだか可笑しいです。
菌や人は、細胞を持っているので自ら成長することが出来ます。髪や爪が伸びるのは、持っている細胞が自然と分裂して増えるから。
一方、細胞を持たないウイルスは生命ではないらしく、その代わりに他の生物のDNA(遺伝子)をコピーする特殊能力を持ちます。ウイルスは、人が、ゲーム上で、コントロールしないと成長出来ないポケモンみたいな感じなんだと思います。
そして、人工生命は生まれた(バイオハザード編)
ヒトゲノムの大きいので、その全ては読み解けていない。一方で、あるウイルスはゲノムも小さいのでゲノムを読み解けているものがあるそうです。
最先端の科学者たちは、コンピュータ上でゲノム編集を行い、人工ウイルスを作れます。その人工ウイルスはコピー能力を持つので、細胞が自ら増えるDNAをコピーできる。創られた人工ウイルスは自然な細胞に侵入してコピーし、自ら成長していく事が出来るようになります。
この「革新的な技術」によって人工的な合成生物『ミニマル・セル』は現実の中に誕生した。親はなく、遺伝子の繋がりのない命がすでに産まれていて、それが人の手によってつくられた。
いまは、まだ細胞サイズの生命だけど、成長してバイオハザードのタイラントやポケモンと現実に向き合ったとき、どんな感覚になるのか?!ミニマムセルから生まれ育ったヒトとどう向き合うのか⁈
まとめ
自分は、人間は自然の一部と考えていて、そのヒトが創ったものも自然と考えるなら、ミニマル・セルも自然の一つなのかな?!とは思える部分がありました。けど、まだ現実離れした感覚がありすぎて、正直捉えきれなかった。
環境が変わると、環境に対応して考え方も変化しないといけないのか⁈と振り返るきっかけになった本。
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